感動を得るための方法(1回目の検索もしない生き方)

最近下記の記事を読みました。

www.gentosha.jp

 

この記事の中に出てくる”2回目の検索をする”習慣であったり、その結果によって自分の行動が支配されている感覚というのは僕も持っていたものでしたし、他に多くの方も日々感じているのではないでしょうか。

 

現在僕は、フィリピンのセブ島に住んでいます。
すでにこちらに来てから7か月目を迎えました。
日本にいる頃に比べたら「非日常」を生きている僕ですが、そんな中にも日常は浸食をしてくるもので、気がつけば周りの環境にも慣れ、目新しいこともさほどなくなってきてしまいます。

普段行かない場所へと出かける際にも、もちろん1回目の検索、そして2回目の検索をして出かけることが多いです。(むしろ、それをしないと外国では危ないことの方が多いです。)

でも、その先に待っているものって”あー、この景色あのウェブサイトで見たわ”という感想だったり、”あのブログでお勧めされていたから、この料理頼んでみよう”という決断(という名の怠惰)だったりします。

 

そういった、事前に知識として仕入れた道を辿るだけの旅行、遠出に食傷気味だったのですが、たまたま最近、急に思い立ち、島に旅行に出かけることになりました。

前日の夜に”そうだ、明日あそこに行こう”と決めて、翌朝に出発だったので、さほど調べずに向かいました。

他のブログでたどり着きたい場所の名前はなんとなく調べておいたので、つけるかなーという程度です。

 

ちなみにこの時に訪れた島はTalikud島という島で、フィリピン第3の都市であるダバオから船で1時間ほどで到着します。

まずは、港に着いてみるとバイクタクシーの運転手たちに囲まれ、どこに行くんだ?俺のバイクで行けよ、という熱烈な歓迎を受けます。

これは、他の場所に旅行に行っても同じことなので、まずは無視して、トライシクル(バイクの横にサイドカーがついたような乗り物)を探しました。バイクタクシーって結構危ないので、あまり積極的に乗りたいものではないのですよね。

しかし、港の周りを探してみてもトライシクルの姿はなく、そこにいるのは僕らを待ち構えるバイクタクシーの運転手たちだけでした。

選択肢は残されていなかったので、バイクタクシーに乗ることにしました。運転手にどこに行くんだ?と聞かれ、このビーチか?と名前を挙げられました。

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ずんずん進んでいくバイクタクシーの運転手

名前に聞き覚えはありませんでしたが、それほど大きな島ではないので、そんなにたくさんのビーチはないから、おそらく調べたところに着くだろう、という淡い期待と、もうバイクタクシーだし、ある程度成り行き任せでいいか、なんとかなるだろうという純粋ともいえる思い込みから「Yes」と返事をすると、僕らを乗せたバイクタクシーは走り出しました。

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このバイクと運命を共にします。ごくり...。

 

20分後

 

港でバイクタクシーに乗った頃には、もうこの時間にはビーチを楽しんでいるかと思いましたが、まだ、僕らはバイクタクシーの上に乗っていました。しかも、必死にしがみついている状態です。

タクシーの運転手が向かっている先に広がっているのは鬱蒼と茂る草木。と、その中にある車とバイクの車輪の轍だけでした。その、以前にもこの道を通行した者がいたことの微かな証明をなぞっていることが、唯一の安心感を抱ける要素でしたが、やがてそのようなバイクの旅も突如、目の前の木々の間から蒼色の光が差してきて、終わりを迎えました。

 

そうして着いたのが「La Isla Bonita resort」でした。 

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あれが受け付けだよ、と言われた振り返ると、そこにあるのは完全にオープンエアーの受付けでした。目が釘付けです。Front Deskとは書いてあるが、受付...?

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ですが、次の瞬間にはその背後に広がる海の美しさに、バイクタクシーにしがみついて豆ができた左手の痛みも忘れ、心洗われました。

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目の前に広がる景色。今まで見た景色の中で1,2を争う美しさでした。

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ほぼ人がおらず貸切り状態のビーチ。

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水もこの通り透き通ってキラキラしています。

考えてみれば、大した下調べもせずに遠出をしたのは久しぶりでした。

とても軽やかで、驚きに溢れ、一瞬一瞬を楽しむことができました。

毎回これでは予測できない事態に振り回されすぎて疲れすぎるかもしれませんが、たまにはこのような1回目の検索もしない生き方もいいな、と思いました。

 

今回の経験で、情報に溢れた現代において、初めての体験をするためには以下のことが大事だと思い出しました。 

1.リスクをとる
初めてのことに対してリスクが付きまとうのは当たり前ではあるのですが、ネットで調べれば大抵のことは答えが分かってしまう昨今では、やや忘れがちの感覚ですよね。

2.他の人の行かないところへ行く
これは1つ目のポイントともつながるのですが、やはり今までにあまり人が踏み入れたことがないような場所、情報が出てこない場所に赴いてみるだけでもドキドキしますよね。どんどん予想の範疇をはみ出していきたいところです。

例えば、ウユニ塩湖。なぜか昔から、そんなに行きたいとは思わなかったんですよね。もちろん行ったら、最高に綺麗だと思います。でも、おそらく人が感動する時って予想を大きくうわまった時だと思うんですよね。そう考えると情報があふれているウユニ塩湖で大きく感動することは難しそうな気がしてきます。

 

 

ちなみに、帰りの最終の船は午後3時だと聞いていたので、それに間に合うように港に戻りました。

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港の様子。

船乗り場の人に次の船の時間を聞いてみると

6:30......Tomorrow

という衝撃の答え。

明日の朝まで船はないと言われました。

その場で困っていると、同じように困ってるような人がいたので声をかけてみました。
その人たちもダバオから来たようですが、船がなくて困っているとのことでした。

困った、困った、と言っていると、そのうちの一人が船を乗り継いで他の島経由で、ダバオに帰ろう!と主張しました。僕らも成り行き任せで、面白そうだから、それで帰ろう、という具合です。

結局最終的には同じ島の別の船乗りばから出発する直通の船を見つけて帰ることができました。そして、その船乗り場というのは、最初についた場所から徒歩圏内にあるビーチリゾートの中にあったのですが、そこが当初の目的地でした。

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当初行く予定であったビーチ。綺麗ではあるが大きな感動は得られなかった。

La Isla Bonitaのビーチを体験した後では、そこのビーチはやや色褪せて見えてしまったので、今日はいい経験させてもらったな、と思いながら帰りの船に乗り込みました。

1回目の検索をしない生き方にはこういったリスクが常に付きまとうものの、そこは興奮であったり、感動であったりとのトレードオフなのかな、と思っています。

 

特にフィリピンでの生活を通して、自分ができることがない時にあきらめることの重要さ、なども感じているので、たまにこういった遠出は今後も続けていこうと思います。

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船が明日までないと言われた時に諦めて、持ってきたパンを齧る僕。